あなたはきっと、覚えていないでしょうね。
あなたはきっと、気付いてもいないでしょうね。
あなたはきっと、想像すらしてくれないのでしょうね。
私がこんなにも、あなたに焦がれていることに――――
【ケモノが一人、人間一匹】
それは偶然にしたって出来すぎな出会い。
降りしきる雨。
薄汚れた路地裏。
漂うは深い暗闇。
丑三つ時には幽霊がでる、なんていう世迷言、もはや『信じてないヤツなんか居ない』。
時代が進めば進むほどそういったオカルトから遠ざかることが出来ると信じていた科学者達は、自分達の手で『人外』の存在を肯定してしまっていた。
いわゆる『狭間世界の知覚』という快挙を成し遂げてしまったがために、サイエンスはオカルトを実証したのだった。『狭間世界』――俗に『ワールド』と呼ばれるこの世界の存在は、まさしく世界中の度肝を一挙にブッコ抜いた。
なんてったって幽霊である。妖怪である。モンスターである。UMAである。色々と物理的に無理な奴等である。物理法則を軽く無視する奴等である。――早い話が、「ぶっちゃけ在り得ない奴等」である。
そんな奴等が世界中に蔓延っていると分かれば、ただでさえ未知に恐怖する人間のことだ。簡単に世界規模の恐慌に陥るのが必然であった。
……必然であったのだが、奇跡が起きたのか人類が突如進化したのか『狭間世界』公表のXデーを迎えても世界は至って平穏だった。
もちろん奇跡なんか起こっていない。奇跡が起こらなければ人類が突如進化するなんてことも当然無い。では、何が起きたのか。
いや、違う。
――何も起こらなかったのだ。
『狭間世界』がある。そこには化け物が存在している。でも、それだけであった。
確かに神隠しと呼ばれるものの大半は『ワールド』の住人の仕業であるし、世界各地の怪奇事件も大抵はそうである。しかし、それらは絶対的な件数が圧倒的に少なかった。犠牲になった者の家族や近しい人間には実に酷な話だが、大半の人間は「そんなもんあったって自分に何かあるわけじゃないしー」と楽観的に構えているのだった。
交通事故に遭うかもしれないから外には出ない、という人が居ないように、滅多に出くわさない『ワールド』の住人なんぞ恐るるに足らず、と考えた人間がほとんどだったのだ。
最も、それは『ワールド』公表時に民衆のパニックを恐れた役人がそう思わせるよう仕向けたからではあるのだが、実はその指南は真理を突いていた。
『狭間世界』は真実存在するが、それが現実世界に影響を及ぼすことはほとんど無い。ごく稀に境界が歪み、特異な現象もしくは存在が出現することはあるが、それはまさしく交通事故に遭うより確率の低いことなのだ。であるにも関わらず犠牲になった人は、遣る瀬無い話であるが不運であったとしか言いようが無い。
普通に生きている限り、『ワールド』と関わることなんてのはまず在り得ないのだ。
まぁ、見当違いの似非黒魔術でも稀に『接続』に成功してしまうなんてこともあるようだが、それは当然自業自得であるし、最近になって制定された法律でその手の行為は厳しく禁止されている。日本では、首謀者参加者関わらずその場に居た者全てに懲役十年以上が科せられるという、殺人と同等の罪とされている。
そんなわけあって、『ワールド』は結局オカルト好きの趣味趣向の一つ止まりで済んでいる。『ワールド』に興味を持つ人間は多く居るが、だからといって積極的に関わろうとする人間は少ない。
その在り方は宇宙と似ているところがあるかもしれない。
未だに多くの謎を残す神秘の空間。しかし宇宙に興味を抱く人間は数多くあれど、実際にそれを研究する人間や宇宙飛行士なんてのはごく僅かしか存在していない。
夢やロマンで飯は食っていけない。実害は無いが実益も見いだせない。そんなものに時間を割くほど、人は暇では無かった。
だから「ついに発見!? 遠野の里に河童出没!!」なんて特番がやっていても、結局今まで通り河童を撮ることも掴まえることも出来ないし、一週間経てば人々はそんな番組は忘れて日常に戻るのだった。
『ワールド』はそうやって日常に埋没していった。
だが、だがしかし――
降りしきる雨。
薄汚れた路地裏。
漂うは深い暗闇。
『ワールド』は、存在する。
世界の狭間に住まう人外は確かに存在する。
例え交通事故に遭うより低い確率で出現するとは言え、ソレらは真実――存在するのだった。
上月 隼人は走っていた。ひたすらに走っていた。
雨粒が強く頬を打つ。体中びしょ濡れになっている。水を吸った布地が肌に張り付いて気持ち悪い。ジーンズが鉛のように感じる。地に足を着けるたび靴がガボッと泣き叫ぶ。
疲労は限界。固まった乳酸のせいで全身がそれこそ水に浸かっているように重い。肺が酸素を欲して軋み、心臓は暴れ太鼓の如く鳴り響く。脳が酸欠を引き起こしたのか視界がぼんやりと白濁にまみれていく。生まれてこの方二十年、ここまで死に物狂いで疾走したのは初めてだった。自分は今ピリオドの向こう側に居るんじゃないかとすら思う。
しかし、隼人は走らなければならない。それが運命――いや、命運であるからだ。
降りしきる雨。
薄汚れた路地裏。
漂うは深い暗闇。
そんな中、上月 隼人は『悪魔』に追われていた。
真の黒を纏う人型の肉体は禍々しく。
しかし人には有り得ない真紅の角が鈍く光る。
物語で見るようなまさに悪魔らしき翼が羽ばたく。
角、翼、どちらも間違いなくコレを人外たらしめている要素であるが、最もコレを『悪魔』たらしめているのは――――その顔。
地獄があったとしたら、そして地獄が聖書通りのものであったとするなら、それはまさしく地獄の使者の顔であった。
目もある。鼻もある。口もある。それらは人間のそれと同じ位置についている。なのに、違う。世界が、違う。
地球のどこを探したって、こんな世界中のありとあらゆる災禍を押し付けられたような表情をする人間なんか存在しない。
痛、辛、悲、怖、苦、怒、恐、戒、罰、滅。
全ての負を一身に背負ったかの如く歪みきり、救いなんかはもはや憎んでさえいるような。そんな究極の“負”が、そこにあった。これが悪魔でなかったらどれが“悪”でどれが“魔”なのか分からないと思えるほど、それは『悪魔』らしかった。
――冗談じゃない!!
隼人は思う。――本当に、冗談じゃない。
あれは悪魔で、『ワールド』の住人で、異次元の存在で、交通事故だ。本来遭うはずのないものだ。
それがどうして今ここに。どうして今ここに出現し、何故に自分を追っているのか。
TVは言っていた。伝説伝承に出てくるような化け物と出遭う確率なんてのは宝くじ一等当選と同じくらいのものだと。だったら宝くじ当たれよ、と正直思うが仕方ない。確率とはそういうものだ。
――なんて割り切れるかッ!!
狭い路地裏を悪魔が飛んで追ってくる。翼を完全に広げることなんか不可能であるにも関わらず飛んで追ってくる。奴等に常識は通用しない。ゲームでしか在り得ない魔法っぽいものも使ってくるし、火だって吐くし雷だって水平に飛ばす。
『ワールド』の住人を正しく理解出来るような人間は、史上最高の天才か史上最狂のキ○ガイのどちらかだろう。
当然の如く、上月 隼人はそのどちらにも当てはまらない。故に、当然の如く、彼は現在どうしようもないほどパニクっていた。
――どうすりゃ良い。どうすりゃ良い? どうすりゃ良い!?
いくら自問しても答えは出てこないし降ってもこない。
――――――――――――――――――――――――――
……うん。あのね、「これで終わりかよ!?」っていう突っ込みはね、非常に正しいと思うんだ。だってね、ボク自身ね、「……こんなん公開していいのか?
後悔しねぇか?」って思ってるくらいだもの。うん、
そのコメントに後悔した。
まぁこれが昔言ってた「気晴らし用」のでっち上げ物語です。設定的にはアリかなぁと思ってるほうなんで、いまガリガリ書いてるのが終わったらいつか日の目を見るかもしれません。
いやーそれにしたってもうちょっとキリの良いところで終わらせるべきですよねコレ。しかしながらコレが現段階で完成してる全てなんでしょうがないですよね。ホント、しょうがないなぁもう。
このあとの展開的には、
真実はいつも一つ。自分の中の誰かが言う。「もう駄目なんだって……」。その言葉に賛同するかのように、永遠に続くと思われた路地裏がぷっつりと途絶えた。
――行き止まり。
こんな感じで続いて、ラストにお決まりの人外少女が出てきて隼人くんを助けるっていうお話なんですよ? そこまで妄想できてるなら書けよって話ですよね。えぇ、まったくそう思います。(じゃあ書けよ
ま、いま書いてるヤツに全神経を注いでるとかって理由でここは逃げるとしましょう。お、追ってきたって続きは書かないんだからねっ!
そんな感じで今日は終わりデース。ここ四日ほどバイト休みなんですが、
休み明けと同時に台風に襲われそうなんですけどココ泣くとこですか? それとも笑うとこ? あっはっはえーんえーん。
あ、耳かきと髭剃り買うの忘れた! 明日まつもときよしさんのお家に行ってこようそうしようグッバァアァァアアァァァァアァアアアァアアァアァァァァァァァアアァァアァアアアアァァァァァアアイサトミタダシ!!