というわけで数ヶ月ぶりにうちのコンビニにやってきたのですよあのサモハンがっっ!!
あ、サモハンってなんじゃらほい? という方は、旧日ッセイ7月12日『大陸からの訪問者』と、そのすぐ下にある14日の『サモハン再び』をご覧になってくださいー。
ほぅら、とっても面白いネタの予感がしてきたでしょう?
というか、7月14日からまったく見なかったので、なんとまぁ実に10ヶ月もの間サモハンとは疎遠だったのですな。ははぁ、感慨深いものがありますなぁ。
前に店に来たときはとても恰幅の良い兄さんで、めちゃ片言の日本語でなんか外国に電話するために必要なカードと巨乳もののエロ本を購入していったのでしたね。そうでしたそうでした。いやぁ、今となってはあの四苦八苦した過去も良い思い出だなぁ。
二度の来店で、最終的には結構サモハンと良い仲になり、あわよくば親善大使に任命されることを狙ったりしていたほどです。いくら時が経とうとも僕らの友情は国家人種を超えても普遍さっ。
なっ、そうだろうサモハン?
「あの、日本からフランスに郵便したいデスが、切手いくらか分かりますか?」
ん?
なんだろうこの他人行儀な質問。
しかも内容がやっぱりぶっ飛んでるよサモハンッ!
…………時の流れというのは、本当に残酷なんだね。
ええ、本当にそう思いますとも。
あのサモハンが……あのまん丸として赤みを帯びて優しげなお顔をなさっていたサモハンが……なんか酷くやつれてしかも髭まで乱雑に生やしてなんだか生気が感じられなかったんですもの!!
あれは……そう――――
何かを終えた漢の顔――――
きっとあれです。
サモハンは祖国に帰ったときに家族が皆殺しにされていて悲しみに明け暮れているところに新たな刺客がやってきて、それを辛くも撃退し問いただしたところどうやらこの事件には日本の仙台の何ものかが関わっているらしいことを知り、単身日本にやってきて家族を殺した日本人を探しているんだそうだそうだきっとそうだそうに違いない!!
嗚呼、なんて悲しい人生を送ってきたんだサモハン。うん、確かに何者も信じていない孤高の瞳をしていたもの。きっと色々と探るうえでさらに手痛い裏切りやなんかを体験してきたんだねサモハン……。
そして家族殺しの犯人に行き着く最後の道であるそのフランスの誰かさんに郵便を送らなければならなかったんだねサモハン。可哀相なサモハン……そんなにやつれて、きっとご飯も満足に食べられないほどひもじい生活をしているのでしょう。それなのに、自分の食事を切り詰めてまで犯人を突き止めるために郵便を送ろうとしているんだねサモハン。
もうね、おいちゃんね、感動しちゃったよ。涙で前が見えないよ。サモハン……お前は本当に強い子だ。お前ならきっと犯人を捜し当て、復讐でも何でも出来るさ。
でもね、サモハン……
フランスまでの切手代なんてコンビニで分かるわけ無いじゃんッ!!!
や、もしかしたら分かるのかもしれませんが、少なくとも自分と相棒のおじいちゃんには分かりませんでした。
おじいちゃんが「あー、そりゃここじゃ分からないわー」と、サモハンの境遇をまったく知らぬデリカシーの欠片も無い言葉を発したとき、サモハンは微かに俯き、「そうですか……」と小さく呟きました。ああサモハン……あんた、とっても日本語うまくなったよ。必死に勉強したんだろうな。嫌でも日本人に聞き込みをしなきゃならないもんな。
……俯いたままコンビニを出るサモハンの右頬には、――気のせいかもしれないけれど――一筋の涙が見えました。
コンビニを出て、のろのろと自転車に乗り、とろとろと何処へかに向かってペダルをこぎだしました。
闇の中を固い決意と燃え滾る復讐心で照らし、サモハンは自転車を漕ぎます。
いつの日か、その想いを成就させるそのときまで、サモハンに笑顔は戻りません。
今は笑顔になると家族の暖かい笑顔を思い出して涙が出てしまうから。
だから笑えない。サモハンが再び笑うときが来るとすれば、それは――――
本懐を遂げたその瞬間か、家族の元へ召されるその時だけだろう。
嗚呼サモハン。嗚呼サモハン!
君の運命は神のみぞ知る! 未来を知りたければ走るのだ! しかと前を見据え、しかと大地を踏みしめ、一歩一歩確実に走るのだ!! さすれば道は開かれん! 走れサモハン! 行けサモハン!! 想いを途切れさせるな走れ走れ走れ!! 復讐鬼と化せサモハン!!
いつか、いつの日か……その過ちに気付くその時まで――――――
走れ、サモハンッ!!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
………………うん。
あのね、あれなんだよね。うんとね、どうしようもないんだよボクってば。
まぁしかしほぼ事実です。適当な妄想以外は事実です。
サモハンは10ヶ月振りに現れましたし、なんだかとっても他人行儀だったし、切手の代金を訊ねたけど自分らが分からなかったので淋しそうに自転車に乗って帰っていきました。
やー、しかし日本語うまくなってましたねー。相棒のおじいちゃんが、サモハンがモンゴル人だと最後まで気付けなかったほど達者になってましたよ。サモハンもただ日々を生きているだけではないのですね。巨乳のエロ本だけを楽しみに生きているわけじゃないんですね。偉いぞサモハン!
しかしサモハンは一体なんのために日本に来ているんでしょうかね。見かけの年齢的に留学ってのが一番妥当ですかなー。いや、でもどうだろう。普通にお酒とか買っていったからなぁ。となると出稼ぎ……? 働いてるのかサモハン……? ていうか働けるのかサモハン?(失礼
ふむ、最後の最後まで不思議生物のままでしたなぁサモハン。いつかまたやってきたら、そのとき訊ねましょうかね。どうだいサモハン。家族は元気かね? と。(もういいよ
よっし、んじゃ今日のところはこんな感じで終わりなのですよお疲れ様でしたなのですよまた明日なのですよグッバァァァアアアアアアァァァイ!!
by kyo-orz
| 2005-05-15 03:59
| 日常記