曰く、単身で国を滅ぼすことができる。
曰く、単身で『666の魔物たち』と対等に渡り合うことができる。
曰く――――“世界の深層”に最も近い男。
それが彼の者である。
世界の中枢、魔都ランドルフが全勢力を挙げて彼の者を追っているがその足取りすら掴めない始末。特別何か大犯罪を犯したわけでも無いのに賞金首ランクは特例の「ⅤS」(ファイブエス)。目撃情報だけで車一台買えてしまうほどの、ツチノコか何かに等しい希少さを誇る伝説的な存在である。
ほとんどの人間は彼の者をただの伝説だと思っている。しかし高ランクの賞金稼ぎは国から情報を得て知っている。彼が実在する人物であることを。しかしそれ故に賞金稼ぎは理解するのだ。
――彼の者が、人に及べる存在ではないことを。
一国が――世界に影響を持つ大国が――総力を挙げて調査しても姿形はおろか性別すら把握できないのだ。幾たびも専用特殊部隊を派遣し分かったことは、彼の者が人智を遥かに越えた強さを誇るということと、彼の者が確かに人間であるということくらいだけのものである。一つの国に攻め込めるほどの軍勢を送り込んで帰ってきた者はただの一人として居ない。彼の者は身に降りかかる火の粉を振り払っただけで「ⅤS」の大罪人となったのだ。
どんなに武装しようと、どんな武術の達人だろうと、どれだけの数で攻めたとしても敵わない。敵う可能性が見出せない。
魔都ランドルフ屈指の傭兵部隊の隊長――「修羅鬼・ガラハッド」が最後に遺した通信には、彼の者の力の片鱗を窺わせるに十分な言葉が届けられていた。
曰く、
「悪鬼羅刹……否、それすら生温い。こいつは、こいつは――――――闘いの神そのものッ――――――――」
以来、彼の者は賞金稼ぎや国の重鎮から「闘神・羅刹」と呼ばれ畏怖されるようになった。
現在でも命知らずの賞金稼ぎが彼の者を探っているが一向に手掛かりは見つからない。国ですら手に余るような存在である。一個人がどうにか出来るものでは無いだろう。
だが彼の者は確実にこの世界に存在する。そして彼の者は人の子である。いつかどこかで失敗をして呆気なく正体を晒す羽目にもなるかもしれない。
果たしてその時、呆気なく正体を晒された方はどんな反応をするのだろうか。
驚くか、
恐れるか、
歓喜するか、
それとも――――――
「あんたが……『闘神』ね」
「肉片一つ残さず消え去りなさいっ!!」
初っ端バズーカをぶっ放されるとか。
どんな展開が待っているのか、それは彼の者にも分からない。彼は人であって神では無い。
いつか彼の者が何者なのか明かされる時が来るだろう。それは恐らくそう遠い日ではないはずだ。その時が来るまで楽しみにしていようではないか。彼の者の真の名を。
闘神として恐れられる彼の真実の姿を――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Kyoっていつも適当だよねとか言わないでお願いだからさ!
これがボクの精一杯さ! そうさこれがボクさ!! さぁ見ろよ笑えよボクを見てせせら笑えよちきしょーーーーーーー!!
ぜぇ……ぜぇ……
ふぅ、すみません。ほんの少しだけ取り乱してしまいました。英国紳士である私がこのような失態を見せるとは……ハハハ、少し疲れていたようですね。
では今回の作品の説明に参りましょうか。
この作品も多分に漏れず現在鋭意執筆中の似非ふぁんたじ~『風の導き 空の蒼』に登場する主要キャラの一人のほんの触りの物語(?)でございます。これではどんな奴なのかさっぱり分かりませんが、上の物語にもあるように、その正体は近いうちに明かされることとなります。
闘神の真実の姿……気になりませんか? はっはっは、そうですかそうですか可愛い奴め。
知りたいのならばしばし待つがよろしいでしょう。皆さんがそう願えば願うほど、実現の時は狭まるでしょう。さぁ願うのです、祈るのです! そして称えるのですこの私をっ!!
さぁもっと! ほらもっともっと!! もっと激しく!! はい、1,2,3!!!
……はぁ……はぁ……
なんだか今日は疲れましたね。それでは名残惜しいですが今日はこのへんでお開きとさせていただきます。お相手は「はにかむあいつが素敵だねっ」のKyoでした。
それではアデューーーーーーーーーーーー!!!
by kyo-orz
| 2005-07-02 01:55
| Kyoの30分創作